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(前編)
黒田勘解由と 約束をたてて
  そこで秀吉 使いをたてて
城井の城主に 和睦をさせよと
  僧侶安国 諌めにくれば
無意の軍を 続くるよりも
  領土一円 平穏なれと
誠一途の 鎮房公は
  中津黒田と 和睦を結ぶ
又も秀吉 使いをたてて
  城井で名高い 鶴姫君と
中津黒田の 長政公と
  契結べと 無理なる書面
それが出来ねば 秀吉公が
  時の天下の ちからで攻める
一を選ぶか 二に追い込むか
  城井で開いた 親族会議
遂に鶴姫 長房公と
  契結ばにゃ ならない運命
tentokuji-bonkudoki (1)
馬上鎮房 声はりあげて
  城井の存亡 この戦いで
決まる軍と 激励すれば
  殿さまの励ます その声きいて
勇気百倍 敵切り廻る
  あわてひしめく 毛利の勢は
一の大将 大野の小辨
  塩田内記が 首討ち取れば
三番大将 勝間田彦左衛門
  新貝荒五郎 その首はねる
大将二人が 討たれたあとは
  残る敵兵 散々逃る
黒田親子も 危うくのがれ
  城井の強さを 秀吉公に
申しあぐれば 秀吉公は
  攻めて勝たねば 戦い止めて
和睦結んで 油断をさせて
  だまし討ちする 非常な手段
  黒田攻め手に 追い打ちかける
そこで黒田は 秀吉公に
  事の次第を 言上なさる
きいておどろく 秀吉公は
  小倉城主の 毛利の殿様に
中津黒田の 加勢をたのむ
  毛利勝信 一万余騎を
宇留津 岩丸 小山田あたり
  兵を集めて 陣固むれば
それと知るより 城井の郷勢は
  関所黒岩 城台かけて
兵をかくして 待伏なさる
  それと知らずに 毛利の軍勢は
山もけんそな 黒岩坂を
  攻めて登れば この時なりと
石を転がし 矢の雨降らす
  不意を突かれて しりぞく谷間
思案つくづく してみたけれど
  十と七代 しづまる墓地や
なれし農民 一族たちと
  別れきらずに 秀吉公に
朱印返上の 評議はきまる
  それと聞くより 秀吉公は
中津城主の 黒田をよんで
  城井を攻めよと 命令下す
黒田親子は 力をあわせ
  後藤又兵衛 母里の太兵衛
吉田・野村の 強者つれて
  あの手この手で 城井の郷城を
攻めて見たれど 城井の郷城は
  難攻不落の 自然の地の利
弓や刀の 軍じゃかてぬ
  城井の本庄 守りはかたい
それに一族 力を合わせ
  長の旅路の 東海道も
すぎて浪花で 暫く休む
  舟に乗り込み 豊前に揚る
今井あたりで 疲を休め
  神楽山城を 築いたあとは
豊前豊後に 筑前筑後
  政治くまなく よく行きわたる
それはさておき 鎮房公の
  時は乱れた 戦国時代
国と国との 争いばかり
  長い戦いは 続いたけれど
大閣秀吉 天下をとりて
  六十余州を 皆なびかせる
城井の城主 鎮房公に
  四国今治 国替えせよと
強くきびしく 沙汰してくれば
  嫡子朝房 身うちを集め
盆口説 ぼんくどき 
       城井落城物語(一)
さんさこれから 私が音頭
  国は豊前の 築城の郡
名所古蹟で その名も高い
  城井の城主 鎮房公の
遠き祖先は 関東にありて
  弓で名高き 名家でござる
弓で占う 射法の儀とて
  他家に出来ない 奥義を極め
その名普く 津々浦々に
  響きわたりて その声高し
時の将軍 頼朝公が
  天下治めて 九州までも
その手伸ばして しづめんものと
  九州探題 守護のために
宇都宮家の 信房公に
  命を下せば 信房公も
お請け致して 九州に降る
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